毎夜30分の幸せ 3月24日
忙しかった日々が一息ついたような。
嘘です。
今直近の締め切りを二本抱えています。
なのに又もや出てしまった〈読みたい本読みたいねん症候群〉
ま、ミステリーやけど。
でも長編だと結局一晩読んじまって、仕事にならない。
なのでこういう策に出ました。真夜中に、一日に短編集の中の一遍だけを……
これなら毎夜30分くらいの休憩ですみますしね。
で、選んだのがこれ。
北山猛邦さんの短編集『私たちが星座を盗んだ理由』と『千年図書館』
彼の作品はかつてバリバリ新本格の城シリーズ、「『クロック城』殺人事件」
「『瑠璃城』殺人事件」『アリス・ミラー城』殺人事件」と読みました。
それ以来ほぼ10年ぶりの北山クンです。
すごいよこれ。
本格物ではないけれど、すごい。
宣伝文句は「すべてはラストで覆る」とあります。
ラストの数行、中にはというか半分はラスト一行でドえらいことに。
リアリズムというか現実感満載で地味な三面記事に載ってる事件ばっかりの短編が
日本推理作家協会賞や直木賞の候補になるようですけれど、
こういう作品がならんもんなのかなぁ。○○より××より絶対面白いけどなぁ。
しばらく前、日本推理作家協会賞受賞の短編を全編網羅したくて
読んでなかったのを片っ端から読んだけど、それらより絶対上やで。
いろんなタイプが詰まってます。
どれも、あっという間にその世界に引き込まれます。
ま、読みやすい文章ってことやけど。
面白くて、ミステリアスで、切なくて……
ボクのベストは
『私たちが星座を盗んだ理由』では『恋煩い』『妖精の学校』『終の童話』
『千年図書館』では『見返り谷から呼ぶ声』
ベストのベストは『見返り谷から呼ぶ声』かなぁ。
北山氏、いろんなタイプが書けるんやなぁ。
このタイプ、続けていってほしいなぁ。
とにかくここ一週間、毎夜30分の至福の時間でした。
さ、締め切り、あと一息。
2019年3月24日