『大地 (Social Distancing Version) 』 10月25日

観劇

 

 

コロナ下で新しいことを始めた。

WOWOWに入った。

 

春、3月13日に幕を開けた新しいパルコ劇場の杮落し『ピサロ』を4月に観る予定

だった。が、コロナで諦めた。舞台も途中で中止になった。

 

その『ピサロ』が6月にWOWOWで放送するという。

舞台は生で観るものと信じている。でもコロナ下ではしようがない。観たかった。

だから加入したわけです。

以来自宅待機中いろいろ楽しませてもらっている。(^O^) Kiiちゃんのコンサート

も。

 

 

 

今日、あ、もう昨日か。三谷さんの『 大地 (Social Distancing Version) 』が放送

された。

これも観に行けなかった。漸く拝見したわけである。

 

 

 

 

 

 

 

面白かった。楽しかった。俳優も、勿論本も。

2時間40分があっという間で、フト時計を見て「えっ、もうすぐ終わるの?」。もっ

ともっと観ていたいと思った芝居は、久しぶりだった。

 

 

1980年代、知り合いが関わっていた関係でスズナリでほとんど観ていた東京サンシ

ャインボーイズから2018年の『江戸は燃えているか』までで、『大地』はボク的に

は、1990年代の『笑の大学』と双璧になった。すみません、『江戸は……』以降、

新作では『月光露針路日本』と『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』は観てない

ので……m(__)m もちろん見たものは全部キチンとチケットを買ってますよ。当然

か。(^O^)

 

 

 

この芝居には〈Social Distancing Version〉と、続きタイトルが銘打たれている。

あ、もう英語で書くの大変なんでカタカナにしますね。ソーシャルディスタンスバ

ージョンと。

 

 

本番時、ワイドショーその他で多く取り上げられた時、コロナ下のソーシャルディス

タンスに合わせ台本を直し、セットを桟敷の升席のように変更し、ケンカシーンも枕

を投げるだけにしたと紹介されていた。だからソーシャルディスタンスバージョンと

銘打たれているわけだ。

 

いりませんよ、その但し書き。

当然再演されるだろう。その時コロナが去っていても、このままでいいと思います。

 

もちろん全ての場でソーシャルディスタンスを取ることは不可能。横に座るシーンと

かもあった。でも、俳優の顔の向き等々でホントにうまくなさっている。

演出の勝利だ。

  

だからソーシャルディスタンスバージョンなんて但し書きはいらない。ホントに本当

にキチンと成立していた。

なのにソーシャルディスタンスバージョンなんて書いたら、それだけで負けになって

しまいませんか。絶対いらない。それほど素晴らしかった。

 

 

 

 

実はボクも先月の明治座さんの氷川クンの公演で同様の書き直しをした。あの手この

手のソーシャルディスタンスバージョンを考えた。それらは全て、再演になった時そ

のままで上演できるように考えてだ。でないとコロナに負けたように思えたからだ。

 

来月13日発売のテアトロ12月号に明治座さんのこと、つまりそのことを書いた。あ

の手この手の対策を。コロナ下でソーシャルディスタンスに負けた本や演出は嫌だ

とも書いた。でないと負けのような気がすると。

  

だが、『大地』は負けていなかった。素晴らしかった。その点、心から謝ります。で

も、だからこそソーシャルタンスバージョンと銘打たないで欲しかった。それも宣伝

なのだろうけれど。お客様に対し、安全ですよ、というメッセージだろうけれど。

 

 

 

  

 

1つだけ〈?〉があります。ごめんなさい。あえて。(^O^)

以下はネタバレがあります。気を付けて。

 

  

 

藤井隆クンが最高指導者に似てる点。もっと似ていないとヤバいのでは。

それじゃ話が変わるとおっしゃるなら……

例えば、ある点の有る無し (例えばホクロとかアザとか) で、見ようによってはマジ

似てる、というのがないと、あの芝居ではばれますよ(^O^)。即、銃殺刑だ。てか

実際ばれるわけですし、ばれないと話が進まないし。それでも一度は成功してる。

でもやる方は命がけなのだから万全を期してやらないと。

だから栗原英雄さんとの場で藤井さんが「あごの辺りが……」と言っている時、栗原

さんが懐疑的に「似てるかなぁ」。で (例えばホクロなら) 藤井クン「ホクロさえあ

ればそっくりなんですけど」とだけ言っておけば、芝居の時にホクロをつけるとか、

あるいは逆に「ホクロがなければ似てます」となれば、芝居の時、慌ててドーランで

消しながら出てくるとか……とにかく何かをすれば瓜二つでないと……

チャリ場 (笑い場) でありながら、反面、恐怖の、死と隣り合わせの場です。コメデ

ィの常套場でありながら、その緊迫感の度合いが他とは違うはず……と思ってしまい

ました。

僭越をお許しください。m(__)m。あとはパーフェクトと感じ入りました。メツチャ

楽しかった。山本耕史クンあそこであれやる!?(●^o^●)

 

 

 

 

  

ぜったい再演になるでしょう。皆さん是非ご覧になるべきです。楽しいですよ。

 

今年はコロナで芝居の本数が激減ですが、例年の如くいっぱいあったとしても、今年

の収穫です。

 

見終わった後も余韻に浸っていました。新劇的で、問題作で、エンターテイメント

で、三谷さんらしい (メッチャ誉め言葉で) くだらないシーンはメッチャくだらな

い(●^o^●)芝居です。

 

架空の国の架空の話です。でもモデルは十分に予想できます。

ここ数年小劇場で歴史の暗部をそのまま描く作品が多発している。批評も賞もそうい

う作品に上がる。

同じ歴史の暗部を描いても、この『大地』こそが演劇だと感服しました。

 

他人様の芝居は余程の知り合いでもない限り書かないのだけれど、思わず書いてし 

まいました。

 

 

 

 

 

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