半沢直樹3 9月22日

〈ま〉の日常

 

伯母の通夜に行ってきました。

 

僕には三人の伯父と三人の伯母がいて、それぞれの配偶者を入れると六人の伯父と

六人の伯母、併せて十二人がいました。(父も母も兄弟で一番下なので、叔父・叔母は

いません)、これで伯父伯母の中で残ったのは、102歳の伯母と93歳の伯母の二人に

なりました。伯父はもう一人もいません。女性は強いです。

 

明日は葬儀です。

 

 

 

さて、帰宅して今、最終回、見ましたよ半沢直樹。

 

いやぁ、ついに終わりましたなぁ半沢直樹。

 

こりゃ最終回40%超えたかな。前回35.9%だったし。すごいぞ半沢直樹。

 

さて。

最終回。すごい完成度でしたね。

密室のセリフ劇を見ているような、恐ろしい緊迫感でした。

 

 

ただ………ただね………

 

(以下ネタバレが含まれます)

 

最後の最後のドンデン返し………まさかと思いながらも読めました。

頭取室へ行くんじゃない!と思ってしまいました。

 

ボクごときになぜ読めた?

それは、逆算のフェアプレーが、如実過ぎたからでしょうね。

 

中盤から後半、二つ「え?」がありました。

まず前回9話目の次回予告で、倍賞さん演じるハネ専務のセリフ

「正義は我にあり」。あれは彼女の巻き返しと受け取りました。

でもあれは白旗をあげた彼女が、半沢に言ったセリフでした。

 

もう一つ。やっぱり前回の予告で、北大路さん演じる頭取が、

「私は銀行員としての君を尊敬していたんだよ」というセリフ、

あれは当然半沢に向けられた台詞と受け取りました。

違った。大和田常務に対するセリフだったのです。

 

やられた。見事なミスディレクション。

予告編にまで張り巡らされた罠。編集という名の見事な演出。

 

これをやられてからは、終盤ラストの、いいえ、それこそすべて帳尻と頭取の立場、

つまり、権力を万全にした頭取なら、半沢にどんな辞令を出すか……を考えました。

周りの笑顔が明るければ明るいほど、逆のカタルシスは、どう働かねばならないか?

 

もっともの大物は頭取だったのかもしれません。

頭取は全てを半沢にかけました。それはすごいリスクを負った賭でした。

半沢がしくじれば自らも失脚するからです。勿論大和田の攻勢をかわすにはそれしか

ないのかもしれない。だが自ら動く事も出来たのに半沢にかけた。それはなぜか……

事が成功すれば、一番の漁夫の利を得るのも頭取だからです。

三択からもっともハイリスク・ハイリターンの選択をした。

つまり頭取こそ大ギャンブラーだったのです。

そして頭取は賭に勝った。買った途端、頭取は大物から狸に変身しました。

半沢は、頭取が全てをかけてもいいと思うほどの手駒でした。でも、

手駒は手駒だったのです。

頭取にとって、こんな半沢を懐刀にするメリットとデメリットを秤にかけた場合、

デメリットを取った。それよりも、適材適所で考えた場合、つまり、半沢の能力

を考えれば、常に赤字の現場において、改善に尽力させた方が得策となるのです。

適材適所。組織は人事です。そこに私情はない。それが組織です。

 

ひょっとしたら、頭取は最初から半沢を東京セントラル証券にやりたかったのかも

しれません。ですが最高殊勲を出向させたら、それこそ全行員の頭に?がつきます。

そこへあの土下座事件。狸の頭取にとっては渡りに船……ってとこでしょうか。

 

 

回を追う毎にどんどんエスカレートしていった漫画的なエンターテイメント性が、

この最終回で、ものすごいドンデンドラマになりました。

 

以前、何気なく浜木綿子さんとした雑談。

「北大路さんが出てらっしゃる限り、最後は北大路さんでしょうね」と。

 

ね。

読めますでしょ。

 

 

このドラマは結局権力闘争の物語だったということですよ。

 

小泉さんの郵政解散が、後に小泉さん自ら曰く、

「あれは政策実行の為の解散ではなく、権力闘争の政局だったんだよ」

それと同じです。

 

本当に大変なドンデンドラマでした。

 

 

でも、ホントに7月8月9月の3ヵ月楽しませてもらいました。

 

6月22日に父が亡くなり、後始末に追われた7月。

8月は三越劇場の稽古と本番。9月は浜さんのお芝居の稽古と本番。

その間、今年後半から来年初めの舞台や映画の台本執筆。

そんな中にあって、毎週日曜日が楽しみでした。

 

いいドラマをありがとうです。

 

 

これはお馴染みの顔。

 

 

 

それにしても半沢直樹、この顔と、微笑み顔の二つで

三ヵ月乗り切りましたなぁ。

その集大成がこの最終回ってわけですか。大納得です。

 

 

 

こちらは香川クン演じる大和田常務。

常務の表情ったら。千の顔を持つ男大和田常務。

耳まで自在に動きます。加えて変幻自在の演技。ホンマにすごいわ。

特に最終回は人間超えてたやろ。あれ、妖怪の部類やで。

 

 

とにかく、本来ならむずかしい筈の経済ドラマを、ものすごいエンターティメントで

そして最後にはものすごいドンデンカタルシスドラマにしてくれました。

 

 

そうそう。最後の場面で、もし、大和田常務が土下座をしなければ、

つまり半沢があの場面で土下座を強要せずに終わっていたら、

大和田は失脚したでしょうね。

そして、半沢は副部長くらいにはなっていたでしょうね。

何事もやりすぎはいけないという事ですね。(笑)

まぁ、だから、逆カタルシスが生きて、次につながるんでしょうけど。

これってご都合主義?(笑)

 

 

あ。とあるお偉い批評家は、やっぱり半沢直樹も「ご都合主義の失敗作」と

断じるのでしょうか。それなら尊敬するけど。(笑)

 

 

本当に本当に楽しませてくれた三ヵ月でした。

 

 

 

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