今頃つながった 11月25日
『ミステリと言う勿れ』の整クンのセリフ。「証拠を出してみろとか言うのは、大抵
犯人って僕は常々思っています」
そういえば先日、宝塚の新理事、言っちゃいましたね、証拠を出せと。
こりゃ黒ですわ。あぁあ。
さてさて。
コロナになってから時間があったので、実は、演劇人生で、少し原点というか基本と
いうか、とにかく諸々勉強をし直した。
歌舞伎、新派、そして新劇におけるコメディ。
で、こんなん買いました。
向かって右からビクトリアン・サルドゥの戯曲『侠婦カザリン』、真ん中が同じくサ
ルドゥの『祖国』、そして進藤誠一氏著の『フランス喜劇の研究』
あとウジューヌ・スクリーブ(昔のフランスのコメディ作家です) の研究書とその戯曲
集も買いました。ネットで見つけたので。もう直ぐ届く。
どれもめっちゃ古い本ですわ。『フランス喜劇の研究』が昭和15年発売。『侠婦カザ
リン』が大正3年。『祖国』に至ってはなんと明治39年。
なのでぜぇーんぶ旧仮名遣い、旧漢字。まぁ読みにくい。
それより驚いたのは明治の発売の『祖国』
まずト書き。上の通り伯耳義の都府(ベルギーのとふと読みます) とあります。つまり
舞台は外国ですわ。
そらそうか、フランス人のサルドゥが書いたんやんら。
それが……
登場人物は全部日本人。そんなアホな。
つまりね、当時の日本人に分かりやすいように、セリフもストーリーもそのままに
人物だけを日本人にしてるわけですわ。ええの?
挿絵が入ってました。
この人達、日本人です。(●^o^●)
そういえば昔、黒岩涙香という方が、あ、日本のミステリの父みたいな人です。
ちなみに父は江戸川乱歩やろ、という方が大勢いらっしゃいますが、ボク的には乱歩
大先生は母ですね。
その黒岩先生が明治時代日本に訳して出版した『幽麗塔』や『ああ無情』も日本の話
になっています。これを翻案というのだそうです。
あの時代は、そういうのが当たり前やったようですね。
確かに外国文学に慣れてない時代ですから。
なので『祖国』もそうなってるんでしょうね。
そこで思い出したことが。
我らNLTのボス賀原夏子先生は、外国の戯曲を直すのがすごく上手かった。
ただその時、お金の単位をいつも〈円〉になさるんですよ。「ちょっと100フラン貸
してよ」というセリフを「ちょっと一万円貸してよ」とか、出てくる金額フランスな
のに25円とか五百万円とかなんですわ。
これだけはボク違和感で、先生に直接聞いたことがあるんですわ。なぜですかと。
そうしたら先生が「その方がお客にわかりやすいだろ」とのお答。ボク、そうかなぁ
と思っていました。
先生は大正のお生まれ。しかも新興財閥の一人娘。お屋敷には明治時代出版の本がい
っぱいあって、いっぱい読んでらしたでしょう。だから外国の言葉を日本に直すのに
抵抗がなかったんでしょうね。
そんなことを思い出した今日この頃でした。
2023年11月25日