20年! 12月31日
大晦日です。
今年もいろいろありましたが、皆様年越しの準備はおすみですか。
大晦日なので、この間新幹線の窓から撮った富士山の写真を。
大晦日やからって、意味わからんが。
やっぱり富士山はすごいですなぁ。何がって? 何もかも、存在そのものがですがな。
仰ぎ見る存在、東京との往復で頻繁に見られる、幸せでごんす。
さて、今年の重大もニュース残すところはベストワンのみとなりました。
あ、そうそう、今年酒を抜いた日は今日を入れて143日となりました。
え、それがベストワン?
違います違います。んなわけないっしょ。
それでは、早速発表です! (ドラムロールの音) 今年の第1位は、20年です!
なんやそれ? ごもっともです。ご説明いたしますね。
過去を振り返るような歳ではありませんが、今年はボクにとって特別な年だった
ので、少々お許しを。
24歳で劇団NLTに入って(この世界に入ってもう33年経ったんですね)、
26で劇作家デビューして(物書きになってもう31年も経つんですね)、
30で商業演劇(三越劇場)デビューして、同じく30で藤間流の名取になって、
同じく30でNLTをクビになって……って、最後はオチかい。
NLTには18年後の平成18年に復帰いたしますが。
とにかく三越さんで毎年春は花の妻シリーズを書かせて頂いて、
テレビも書かせて頂いて……順風満帆のように見えたのに……
騙されました。お金。平成4年と平成8年に2回も。
2回とも企画イベントプロデュースでした。
世はバブルがはじけて不景気なのに、まだイベント界はバブルを引きずっていて、
ボクはバブルには一切乗っかってないのに、甘い言葉に誘われて、大きなイベント
を受け、なのに支払いの段になってプロデューサーと主催者がドロンして、ボクに
は多くの支払いが残りました。なんだかバブルのそのツケだけを払わされたような
もんでした。
一度目のは何とか持ちこたえましたが、二度目のは無理でした。
全部の貯金をはたいても3千万近く借金が残りました。
どうしよう。この世界をやめようか、自己破産しようか、自殺しようか……
そう悩んだ時から、あらあらあら、仕事がどんどん入ってきたんです。
それまでは仕事があると言っても年に1、2本で、とても食べては行けず、
企画デザインで食べていたわけです。
それが、借金で目の前真っ暗になった平成8年から、突然食べられるように
なったのです。ま、借金返さなアカンから、貧乏のままでしたけど。
で、借金取りの方々に「必ず返します。絶対逃げません。ほら、予定表見て下さい。
仕事はあるんです。今年も、来年も。でも今、無い袖は振れません」と手をついて、
丸めた頭を床にこすり付けて、皆さん待って下さることになって……
それから今年で20年。
ボクはその時より、ずっと願っていました。
「20年、途切れずにずっと一線で仕事が出来ればうれしいなぁ」と。
その20年を目標に決めて、そのため、どんなきつい締め切りも(突然電話があっ
て明日締め切りなんてのもありましたよ)、安いギャラも、無理な直しや注文も、
全て「はい」と言ってきました。
こんなことがありました。その日は1日で東宝さん、松竹さん、NHKさんと
打ち合わせでした。1日に3つも。それも東宝松竹NHK。売れっ子です。(笑)
でも全財産が70円。地下鉄にも乗れません。(涙)
あっちこっちに1万円貸してほしいと電話しても、まだ携帯の無い時代です。
皆留守電。
どうしよう。打ち合わせに行けない。自転車でいくには時間が間に合わない。
「そうだ、本を売ろう」と気がついて、約200冊を、ブック●フではありません、
普通の古本屋さんへ自転車で4往復くらいして持って行くと、8千円になって、
それでようやく打ち合わせに行けた事もありました。
これにはまだ続きがあって、最後がNHKだったのですが、当時ディレクターの
原嶋さんにこの話をすると「明日の飯はあるのか」と仰る。ボクが「ありません」
と言うと「ちょっと待ってろ」と言って、各スタジオから余っているお弁当を
「持って帰って食べろ」となんと5つも持って来て下さいました。
嬉しかったなぁ。原嶋さん、本当に感謝しています。
ただ、ボク、1度に5つも食べられませんでした。夜中に1つ、翌朝に1つ、
翌日の夕方には皆腐ってしまいました。
原嶋さん、あれ2個くらいでよかったんですよ。(笑)
そして20年。
一度も仕事が途切れずの20年。
今年がその目標の20年でした。
ずっと休みなしに仕事を頂戴することが出来ました。
目標達成です。
その間に世に出た舞台上演台本は200本を超えました。
幸せです。
本当に本当に感謝しています。
仕事を下さった皆様に、助けて下さった皆様に、ご協力くださった皆様に
心から謝申し上げます。
神様に、仏様に、ご先祖様に、心から感謝申し上げます。
勿論、ここで引退するわけではありませんよ。
これからもボクをご指名下されば、全力で作品を書き、演出いたします。
どうぞ来年からも宜しく宜しくお願い致します。
目標の20年達成。これが今年の第一位です!
それでは、皆様、よいお年をお迎えくださいまし。
今年も本当にありがとうございました。
あ、先述の借金ですか? とっくの昔に全額返済いたしました。ご安心を。
2015年12月31日