ONとOFF 1月11日

〈ま〉の日常 読書感想文

  

 

 

正月休みが済んだと思ったら三連休。

 

いいのかなぁ。

 

 

さて、そういえば去年の12月27日にこのブログで、

東山彰良氏の『流』の感想をまた後日と書いたままになってましたね。

 

いや、面白かったですよ。

ぐいぐい、あっという間に読んでしまったもの。

とくに文章が凄い。流麗溌剌。

70年代の台湾の事情が生き生きと、暗澹と、描かれています。

 

更に『流』は2015年度「このミステリーがすごい」で第5位。

「文春ミステリーベストテン」で第2位。

 

でも、でもね、これってミステリーなんでしょうか。

 

勿論広義ではミステリーの範疇に入ることくらいわかります。

人殺されてるし、最後には意外な犯人が明らかになるし。

 

でもそれらの比重は全体の2割もないでしょう。

 

これはミステリーと言うより、見事に弾けた傑作青春小説です。

 

なので、本格ミステリーファンの方はお気を付けあそばせ。

 

それさえ前もって合点して読めば、流石直木賞受賞作ですぞ。

 

特に描くべきところ ON と、割愛すべきところ OFF の塩梅が見事でございました。

つまり、出てくる話やエピソードに、無駄がないんですよ。

 

本格ミステリファン以外の方、是非。

 

 

 

 

 

さて、今日、もう昨晩か、大河ドラマ『真田丸』が始まりましたね。

 

拝見いたしました。

 

ボクは毎年大河ドラマの1回目は絶対に見ます。

 

少なくともここ40年はそうです。

 

でこの後、見るか、見ないか、もう少し様子を見るか、を決めます。

 

 

篤姫は見ようと思いました。

 

 

ここ20年で、1回で見るのをやめようと決めたのは2本です。

 

一ト月でやめたのも2本です。

 

ただ、二ヶ月に1度くらいはその考えが正しかったか、確認の為に見ますけれど。

 

その考えは間違いではありませんでしたよ。

 

だってその後の視聴率が………やっぱり……

 

 

 

で、真田丸です。

 

面白い!!!

 

三谷さんらしい歴史ドラマでした。

 

 

同じ大河ドラマでも、書き手が代わるとこうも違うものなのでしょうか。

 

 

大河ドラマはドラマでも歴史ドラマです。

主人公のドラマと歴史的事実に基づくドラマ。

その塩梅が作家の腕でしょうな。

 

 

ところがここ10年くらいの内、2、3本ですが、とても「これ大河?」というのが

あったように思えます。

さっき書いた2、3本ですね。

 

 

歴史ドラマには、ОN、つまり描かねばならぬところと、

OFF、つまり描く必要のないところがあります。

 

ONとOFFを間違ったら、歴史ドラマは目もあてられません。

 

平清盛の50歳の誕生パーティなんていらんやろ。

 

それは主役選びでも同じです。

ONの人とOFFの人。

 

歴史ドラマの必須条件は、歴史的事件が、なぜ起きたのか、

その中で、渦中の主人公はどう生きたのか。これでしょ。

 

これを描かずに、おにぎりこしらえてる場面なんていらんやろ。

 

せやさかいいうて、主人公の幼い女の子が、何でもかんでも歴史的事件の真ん中に

立っているというのは、一番安直で嘘だらけやし。

 

 

つまり、大河ドラマのよしあしは、あくまでも歴史の真っただ中を描くドラマで、

ONとOFFの正確さ、虚と実の塩梅、そしてドラマとしての面白い展開なんです。

と、ボクは信じています。

 

 

 

さて、今回の真田丸。

 

非常に分かりやすく、武田家滅亡とその時の真田家の内情が分かりました。

 

勿論木曽氏が裏切り、最後小山田氏の裏切りまで、実はもっともっと事件が

あるのだけれど、本当にうまく端折ってらして、無駄がなく、

 

しょっぱなから何でもかんでも「主人公が偉い!」と、

一番安易で愚かな主人公立てもせずに、

幸村は15歳の、兄ちゃんも16の、まだ子供、でも元服も過ぎもう大人、

の人物として、いい塩梅でちゃんと描かれています。

 

で、三谷さんらしいコメディ要素も、場面展開でキチンと表現し、

 

そう。

歴史的事実と創作的展開の妙、虚と実の展開が素晴らしく、

その中で三谷さんらしいコメディ要素も、キチンと表現してありましたね。

 

草刈さんが「富士浅間の山が火でも噴かぬ限り武田の家は安泰でございます」

と言った瞬間、みなさん「あ、噴く」と思ったでしょ。ボクも思った。

これ、コメディの定石。で、噴いた。

噴火を見上げるポカンとした草刈さんの表情。笑いました。

で、堺クンが父に言うセリフ「そりゃあ火山ですからたまには火も噴きましょう」

お見事!

 

あの年本当にあった浅間山噴火を実に楽しく描いて下さっています。

 

ONとOFFのバランス、歴史的事実(表)と裏(家庭)の話のバランス、

虚と実の絡み合い、そして展開、更には作者らしいコメディ要素。

 

僭上ながら実に見事と思いました。

 

その上、キャラの作り方がいいなぁ。

長男と次男の対比。

草刈さんの大狸ぶり。

武田勝頼の汚れなさすぎの貴公子ぶり。

公家のような母上と、武家の女らしい祖母。

 

加えて、大きな合戦場面もなく、予算も助かってそうやし。

 

 

いい脚本なんですね。

 

 

 

 

 

 

楽しそうやなぁ。

 

 

唯一のツッコミどころは、岩殿城への木戸、あれならブチ破れるやろ、

くらいですな。まぁご愛嬌。

 

 

勿論これらはあくまでもボクの好みです。

 

 

 

今後どうなっていくのか分かりませんが、

 

失速せぬことを切に願います。

 

 

今年最初の楽しみが出来ましたぞ。

 

 

 

 

 

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