芥川賞とNLT新人賞 7月28日
芥川賞とNLT新人賞……?
えらいタイトルやなぁ。
比べられへんやろ。
でもね、新人が思いを込めて作品を書くのは同じなんです。
で、ようやく読みました、『火花』
以下はボクの感想です。
大きく言うと2つです。
1つ目。内容の感想です。
当たり前やろ。内容の感想なんやから。2つ目てなんやねん。
それは後のお楽しみという事でひとつ。意味わからんわ。
悲しい話でしたね。
実に切ないお話でした。
主人公・徳永の気持ち、焦り、不安、手に取るように分かります。
お笑い界と演劇界の違いはあっても、ボク達もみんな徳永と
同じ気持ちで頑張っているし、頑張って来た訳ですから。
この気持ち、二世や最初からスターとしてデビューされた方には
分からないでしょうね。
その過程が実に丁寧に描かれています。
直木賞は大衆文学ですから、評価はほぼ同じになります。
好みはありますけど。
一方芥川賞は純文学なので、とらえ方は人それぞれ。
ボクは共鳴しました。
悲しく切ない物語でした。
それなのに、悲しい話なのに、最後の最後で爆笑してしまいました。
「○○は、胸を揺らさないように気をつけながら泣いている」
小説なのに、泣き笑いを体験させてもらいました。
又吉クン、すごい。
さぁ2つ目の感想。
それは文章です。
いやぁ、かなり気張ってらっしゃいましたね。
既成の作家先生ならまず平仮名表示をするところを、
とにかく漢字を使い熟語を多用されていました。
更に比喩の多用に、ぎっしり詰まった文章構成。
あちこちでそのことを指摘されてらっしゃいました。
勿論ボクは好意的指摘ですよ。つまり……
やっぱり新人なんですよ。(笑)
小説と戯曲の違いはあってもボクも物書きで生計を立てています。
ボクもデビュー作『物言へぬ鸚鵡の兄妹』の時、やたら漢字と熟語と
小難しい表現や比喩を多用しました。
そして指摘されました。勿論好意的に。だから今があるんです。
その時のボクの気持ち。
(又吉クンがそうだったかどうかは分かりませんが)
なめられたくない。
漢字を知らないと、言葉を知らないと、表現を知らないと思われたくない。
だからデビュー作や若い頃に書いたものを今読みなおすと、
気張ってるなぁと思いながら、赤面と共に、なんだろうこの雰囲気?
と思うのです。
何かあるんですよ。若い頃の思い、気負い、それが
月日が経ってくると洗い落とされてしまって
よくいうと洗練、悪くいうとハードルクリアだけで乗り切っている、
みたいな。
この話、以前地元が誇る新人賞作家浅田靖丸クンと呑んだ時、
2人して「そうそう」とうなずきあったことがありました。
デビュー作には、何かがあると。
文章が熟練と言われるの大作家は、大抵優しい表現です。
でもその先生も若い頃は、小難しい表現のオンパレードだった
なんてことがいっぱいありました。
今回『火花』を読んで、又吉クンが実は王道を歩まれるかもしれないと、
改めて若い作家って素敵だなと、思ってしまった次第です。
さて、NLTコメディ新人戯曲賞です。
皆さん、新人の頃の作品は、後になって読んでみて
赤面するなんてことは、プロになった人のほとんど全員が感じている事です。
安心して、思い切ったコメディを、送って下さいね。
31日当日消印有効です。
まだ3日あります。
2015年7月28日