今年初の 1月9日
NHKで大河ドラマ『おんな城主 直虎』とBSドラマ『女の中にいる他人』が
始まりました。
「おんな」二題ですな。
大河ドラマ……
戦国前半の著名人ですが、一般的には無名の人々を描く時に必要な
人物・状況紹介はなかなかでございました。
なのに……
ごめんなさい。これはボクだけかもしれませんので。
先に謝っておきます。すんません。
1つ1つのエピソードが、まぁアッケラカンというか、ホームドラマ的というか、
やっぱり女性脚本家というか……
時代が時代やから、出てくる事柄は、生きるか死ぬかの切羽詰まった重大事ばかり。
なのに、主人公本人の能天気な描写が多すぎて……
本当に必要なエピソードは、世は戦国。井伊家は弱小で、今川の傘下になっていて、
本家には女の子一人しかいなくて、その子はメチャ元気で、分家の子(亀之丞)と婚約
させて、ところがその父が殺されて、亀之丞を逃がせ!
これでしょ。
なのに主人公のあっけらかんのエピソードが多すぎて……
しかも鵜の目鷹の目生きるか死ぬかのあの時代に、
領主様のたった一人のお姫様が、百姓の子のように好き放題。
ありえない。
人質に取られたらどうすんの。
更に、おとわのセリフ「女に二言はありませぬ」
ありえない。
この時代のまして子供が言う訳がありません。ボク、耳を疑いました。
「武士に二言はない」が正しいわけでしょ。それが派生して「男に二言は」。
ならば、例えばきつい叔父上がいて、何かというと「子供は向こうへ行ってろ!」
「女はすっこんでろ!」と怒鳴っていて、その叔父上の口癖が「男に二言はない!」
で、それをおとわが揶揄的に真似て「女に二言はない」と言ったのなら成立します。
それなら面白いですが。
またも、少女漫画のお転婆のお姫様やな。
乗れない……
おとわを演じる子役ちゃんがうまくて、うまければうまいほど、乗れない……
ボク、ここ20年の大河で、女性の脚本家の方が書かれた作品で最後まで観たの
『篤姫』一本だけ。
とにかく、『江』のように、何でもかんでも歴史のど真ん中に彼女がいた的進行
にだけはなりませんように。
まぁ、もうしばらく見てみます。
それからすれば『女の中にいる他人』。
そんなにたくさんの情報があるわけやないのに、
主人公の夫が友人の妻と浮気してて、やってる最中に殺しちゃって、
被害者とシェアしている友人の女が○○で……
これだけでしょ。
でも最後までうまくひっぱりはりました。
なんやろこの差。
同じおんなでも、『女の中に……』の方は吉本昌弘先生。流石です。
さてさて。
締め切りも一つ済ませて、さぁ、今年初のミステリーと参りやしょう。
そう。年の初めから〈読みたい本読みたいねん症候群〉
とはいえ、穏やかに読みました。
そうか? 2日で3冊やで。
というのも、締め切りは一つこなしましたが、まだ提出していません。
なんか、今一つ気に入らなくて。
なれば、てきめんな解決法。二三日寝かせる。
書き上げた時はこちらも盛り上がっています。
二三日して、こちらの気が落ち着いて、改めて読むと、
気が付くことがものすごく多いのです。
もちろん緊急依頼の場合はこのまま出しますが、
そうでない時は、この手が一番。
で、もう一度直したうえで、初稿として提出するわけです。
なので、その隙にまとめて読書となったというわけでごんす。
では。
まずは、ちょいと古い本ですが、読んでなかったので。
北森鴻氏の『狂乱廿四孝』 1995年の鮎川哲也賞受賞作です。
ミステリとしてはチト弱いですが、世界が、出てくる人々が!
時は明治初め。まだ江戸が残る東京。
猿若町の森田座を舞台に、主役は戯作者志望の若いお姉ちゃんですが、
主要人物がすごい。後の河竹黙阿弥、十二代守田勘彌、三代目澤村田之助、
五代目尾上菊五郎、後の九代目市川團十郎etcetc……
田之助が両足を無くしながらも舞台を務め大当たりをとる森田座や市村座を舞台に、
この人たちが連続殺人事件に巻き込まれていく。
なかなかでございました。
そして、昨年2016年本格ミステリの分野の大収穫2作。
鮎川哲也賞受賞作大型新人・市川憂人氏の『ジェリーフィッシュは凍らない』と
ベテラン竹本健治氏の『涙香迷宮』
『ジェリーフィッシュは凍らない』
いやぁ、なるほど鮎川賞受賞は納得でございます!
とはいえ、ツッコミどころ、無理くり枚数をまとめた感はありましたが。
昔読んだkappa-one受賞の林泰広氏の『見えない精霊』や鮎川賞作家の門前典之氏の
受賞四年前に同賞を落選して自費出版されたという『死の命題』を読んだ時のような
感覚に陥りました。
次回作に期待します。ホントに大傑作を楽しみにします。
ちなみに、門前氏の『死の命題』
今は『屍の命題』と改題され出版されてますが、当時は自費出版されたものしか
なくて、捜して捜して、三鷹かどこか(記憶があいまいですんません)の図書館に
あることが分かって、目黒の図書館に取り寄せてもらい、ようやく読んで、又
目黒の図書館から返却して頂きました。苦労して読んだんです。
当時その苦労をDODOでえんちゃんに言うたら、「そんな暇があったら台本書き!
締め切り目の前やろ!」と言われました。(笑)
竹本氏は大昔に『匣の中の失楽』『ウロボロスの偽書』の2作しか読んでません
でした。
大ベテランに対し3作目でやんす。すんません。
この感想はまた後日。
今、唸ってますので……
さぁそろそろ寝かせた台本読もか。
ふと横を見ると門前氏の最新作『首なし男と踊る生首』が「オレも読んでくれぃ!」
と訴えています。
それにしてもすごいタイトルやな(笑)
追記
結局『首なし男と踊る生首』、読んじまいまいした。
感想はって? ううーん……てことで一つ。
『死の命題』はすごいですよ。あ、今は『屍の命題』か。
2017年1月9日