Q.E.D.って難しい? 5月4日
5月ですねぇ。
もう、早い早い。
世間様はゴールデンウィーク。
今年は取りようによっては10日も休みなんですって? 凄い。
ボクは締め切りでごんす。
さて、前回書いた「99.9」快調に飛ばしてますね。
面白い。ボクもハマってます。
仕事の合間の楽しみでごんす。
そう、「相棒考」ならぬ「99.9考」でやんす。
なんだか、相棒が終わるとこっちへお鉢が回ったような。(笑)
で、第3話です。
問答無用やな。
でも楽しいドラマなので、ついついやってしまうのですよこれが。
で、行きます。
おしいなぁ。ホントにおしい。
前回も書きましたが、0.1 が逆転勝利するには、
絶対的な証拠か、絶対的なロジックが必要です。
つまり、Q.E.D.が絶対条件なのです!
有栖川有栖氏の『スイス時計の謎』のものすごいロジックなど好例です。
でも、今回も、最後の法廷での榮倉さんの証明、Q.E.D.になっていません。
ボクが検察なら、というか、普通ひっくり返しますよね。
順を追っていきますよ。
以下ネタバレありです。
松本クンが被害事務所へ行って、社長と専務に金庫を開けさせたとき、
暗証番号の紙を見せましたよね。
あれ見た時、皆さんも気づいたでしょ。
あ、「0」と「6」、どっちだ?って。
なるほど、暗証番号に対して、真犯人と被告人の認識が違うなと。
この時点で専務はどっちかは分かりませんが、というのは
分かってて間違ったふりをしていることもあるからです。
ま、今は、専務の話はちょいと置いといて。
つまり、今回の0.1 は暗証番号の認識だと、皆さんも思いましたよね。
となると今回のテーマは、犯人と被告人の認識が違うと、完全に証明することです。
でも……
ドラマの中でそれがありませんでした。
最後の法廷場面で、社長は番号を6と認識していたことは証明できました。
でも被告は……?
榮倉さんが、「被告人は0と認識していたのです」とセリフで言っただけです。
つまり証明されていません。
ボクが検察なら、あの時点で「それがどうした」というでしょう。
だって被告がウソをついているかもしれないのです。
被告にだって金庫を開けることが出来たかもしれないからです。
それはなぜか……
問題は被告の勤続年数と、社長の字の癖です。
被告はあの会社で6年経理として働いていました。
暗証番号は社長が毎月変えていて、その都度紙に書いて専務と被告に見せていた。
それは、4ケタの数字を2つ書き、それを見せ、その2つを足した数字が番号です。
つまり一度に8つの数字を見せていた訳です。
つまり年間12回で勤続6年、被告が勤めてからも計72回も見てきている訳です。
更に8つの数字の中に6が出る確率は、恐らくすごい数ですよね。
もうお分かりですよね。
今回のような6と0の間違いなんて、6年の間にとっくにやっている筈です。
被告にも専務にも、社長の書く字の癖はもうすっかり判っている筈です。
つまり社長が書いたのは6か0かなんて、とっくに把握している筈です。
事実、専務も被告も一週間に一度は金庫を開けているとの証言がありました。
このやり方は、今回初めてやったやり方なら話は別です。いつもは口頭で伝えて
いたが、今回初めて紙に数字を書いたと。あるいは、右手を怪我したので、今回
初めて左手で書いたから字が変になったとか……
でもそんな場面はありません。つまりずっとこのやり方をやってきたわけです。
つまり、6と0の間違いはおこらない……
少なくとも、前半、暗証番号の書かれた紙を見た時、ボクはそう思いました。
その上で被告人を犯人ではないと証明しなければならないと。
まだ犯人は社長か専務かは分かりませんが、被告は犯人ではないとして、
犯人と被告の6と0の認識の違いを証明する……
というよりも、社長と専務と被告の全員が社長の字の癖を把握していると
考えるのが妥当である場合、三人とも同じ暗証番号の認識であり、それを「
私の認識は違います」というのなら、それは嘘をついていることになる訳で、
その中から被告人の無罪を勝ち取るためのQ.E.D.って一体?………
これは凄いぞと、ワクワクしました。
ですが、結局その証明はありませんでした。
榮倉さんが「被告は0と認識しています」とセリフで言っただけです。
結局、6年間も社長の字の癖を見続けてきた経理が、6と0を間違った
ということになる訳です。
ボクが検察なら、「被告はあの数字が0か6か、知っていたはずだ」と
言うでしょうね。「6年間も経理を担当し、社長の字の癖などとっくに
把握している筈で、つまり被告は金庫を開けることが可能であった」と。
「違うというなら、証明しなさい!」と。
で、結局、社長が膝から崩れてしまって、つまり自爆して終わり。
昔、「ア・ヒュー・グッドメン」という映画があって、
トム・クルーズとジャック・ニコルソンの手に汗握る法廷場面があって、
なのに、結果Q.E.D.じゃなく、犯人の自爆で勝利!
映画としては名作だけれど、法廷推理劇としてはあの映画はアンフェアの駄作です。
それと同じ事は、出来るだけ避けてほしいなぁ……
では、どうすればQ.E.D.が出来るのか。
6と0の話はこのさい捨てましょう。
続いて金庫のボタンの指紋問題ですが、追及はダメでしょうね。
お金が無くなっていると気づいた時の社長の指紋の下に
被告の指紋があれば、もう言い逃れは出来ませんが、
それでも犯人が手袋をしていたら関係なくなります。
可能性があるとすれば、
暗証番号が全く違っていた。つまり専務と被告の認識とは全く変わっていて、
その番号は社長が何らかの事情で、前夜にもう一度変えていた。
しかし、金がないと騒ぎが起こったすきに、社長が元に戻していた。
この一連の社長の偽装工作を、明らかにできれば……
例えば、賄賂の一千万を取り出した時、誰かに見られ、それで慌てて
番号を変えていたとしたら……
その見た奴を捕まえて証言をさせたら……
ううん。難しいなぁ。
一晩ゆっくり考えないと……
ああ、締め切りが!……そんなんやってる時間あらへんがなぁあああ!
あ。さっき書いたのでええんやんか。
右手を怪我したから初めて左手で書いた。だから6と0がややこしくなった。
これからQ.E.D.までもっていけるかな……そうか?
丁寧に、かつ大胆に作られている、面白いドラマです。
シリアスとギャグの塩梅も素晴らしく、
松本クン、楽しいそうに演じてらっしゃいます。
彼の代表作の一つになるでしょうね。
ボク的には、今期イチオシです。
ましてテーマが0.1 パーセントの逆的劇。
ワクワクします。
次回こそ、パーフェクトな、Q.E.D.を切に切に願っています。
2016年5月4日