花鳥風月堂 9月21日
秋が扉を開け始めました。
さて……
今日は金曜日。
花鳥風月堂の放送日でした。
花鳥風月堂……壇れいさんと冨田佳輔クン、そして猫の小判が、古典芸能を
ドラマ仕立てで紹介するNHKの番組です。
僕が脚本を担当しています。もう知ってっか。
昨年の4月1日から始まって、もう1年と半年以上、というより、
僕の場合、企画段階から参加したので、もう2年近くになります。
なのに、この日記で取り上げた事ありませんでしたよね。
じゃ、今日は花鳥風月堂の誕生秘話のさわりを。そ、さわりを。
一昨年の10月でした。
当時のCP(チーフプロデューサー)・Y氏から電話がありました。
古典芸能番組をリニューアルするので協力してほしいと。
Y氏は、平成8年小林稔待さん主演の金曜時代劇『夢暦・長崎奉行』の
ディレクターの一人、僕は脚本の一人でした。
僕自身が藤間流の名取りで、曲りなりにも古典の世界にも住んでいる事をご存じで、
それでのご依頼だったのでしょう。
確かに、こういうタイプの脚本家はいないでしょうね。普通の脚本家さんなら、
「今週は助六でいきます。助六とはこうこうこういう話で……」なんて、
いちいち説明しなきゃなりませんものね。
ともあれ、
花鳥風月堂という名前は決まっていて、やりたい事も、つまり
古典を、渋谷の街を闊歩している女の子にも分かるように
ドラマ仕立てで紹介したいとの事でした。
ただ、どういう内容にするか?
そんな事を話してから、もうすぐ2年。
早いものです。
そして……
これが台本です。
15分番組なので、一冊に2話入ってます。
今までで60話分書きました。
つまり台本にして30冊。これがその30冊の台本群です。
今も書いてます。
今書いているのは来年最初の放送分です。
毎週金曜日夜10時(再放送は翌金曜日お昼の12時から)Eテレで放送中です。
ちなみにEテレとはNHK教育テレビの事です。いつの間にかハイカラになってます。
壇れいさん、お綺麗ですよ。
毎週素晴らしいお着物で登場し、その着物を紹介するコーナーもあります。
是非見て下さい。
って、言ってる側から、来週は日本舞踊協会公演の特別編成でお休みです。
ごめんちゃい。(50過ぎてごめんちゃいはないわな)
あ、それと、ちなみに、「神山雪乃」「渋谷学」「小判」の名前は、
僕が、NHKの会議室で、あっと言う間に決めました。
それぞれどういう意味かって?
それは………お考え下さい。こらこら!
と、書いているうちに日付が変わって22日になってしまいました。
あ、1時34分から『アフタースクール』やってる。観て寝よっと。
面白いもんね。
昔たまたま、ホントにたまたま、若い監督の、といっても誰も知らない
インディペンデンスの小さな小さな作品の『運命じゃない人』を観て、
ひっくりかえりました。
最初は素人が撮った8ミリ映画かと思い馬鹿にして観ていました。
ところがそのうち、アレアレアレ……とんでもない事に!
監督の名は内田けんじ氏。
本当に練りに練り上げられた脚本でした。脱帽! 拍手!
イチコロでファンになってしまいました。
この映画で、劇団NLTで僕と同期の山下規介クンが
毎日映画コンクール助演男優賞をとりました。素晴らしい。
でも、この手の話は舞台にはできない。
タイプは違うが綾辻行人作『十角館の殺人』と同じか。悔しいなぁ。
とにかくそんな訳で、内田監督だから『アフタースクール』は一も二もなく直ぐ池袋の
映画館へ直行しました。
面白かった。テレビで朝から晩まで大宣伝なさっていたのコメディ映画より
遥かによく出来てる。
又も練りに練った脚本。強烈などんでん返し!
二度観すればどんなにフェアプレーで作られているか、冒頭からの何気ないセリフの
一つ一つがすべてトラップなんです。まぁ気づきませんけどね。きっちりやられた。
完敗。又も脱帽。
どんな話かって?
ロベール・トマが10人くらいいるような感じ。(NLT関係者にしか分からへんがな)
詐欺師の話ではありませんが、展開がコンゲームのようと言えばいいのかな。
こんないい映画なのに、日本アカデミー賞には上がってこないんですね。
大宣伝コメディは絶対上がるのに。不思議だ。不思議でもないか。
世の中そういうものか。大人の事情だ。
今放映中の監督新作の『鍵泥棒のメソッド』はまだ観てませんが、楽しみです。
今度は賞レースに上がってくるでしょう。大資本もついたようだし。大人の事情だぁ。
好きだなぁ、大人の事情(笑)。
鳴呼、又脱線して、時間が過ぎていく………
仕事せぇよ。何本たまってると思てんねん。
2012年9月22日