もうひとりのシェイクスピア 2月18日
『もうひとりのシェイクスピア』を観ました。
いやぁ、面白かった!
こういうの好きですわ。歴史的謎に対する解決と陰謀とミステリー。
もうね、いろんな歴史的謎を一挙解決の物語。
どんな謎かって?
シェイクスピアの作品群を書いたのは本当にシェイクスピアか? 違う人ではないの
か? これはいろんな説がありますね。
この映画では、オックスフォード伯エドワード説を取っています。これはわりと有名
ですね。あ、これはネタバレではありませんので。最初から謳ってあります。
でも、なぜそうなったのかが実にお見事。
まず、有名なシェイクスピアの名前の謎(シャクスピアという名が真実で、ではシェイ
クスピアは誰だという説)も解決しています。
更に更に、オックスフォード伯はシェイクスピアよりずっと先に死んでいるではない
かという反論も、見事に解決しています。
それに合わせて、当時の宮廷の権力闘争や、歴史的事実、エリザベス1世が実は子供
を産んでいた説、グローブ座建設理由とその火事、ウィリアム・セシルと息子のロバ
ート・セシルの大陰謀、エセックス伯とサウサンプトン伯のクーデターの理由、なぜ
サウサンプトン伯だけ許されたのか?……等々……120分で、実にうまく書かれてい
ます。ま、ホンモノのシェイクスピアはものすごくクズに描かれてますけど。(^O^)
ロバート・セシルも説どおりキチンと小男のせむしに描かれています。
それにしても皆、肖像画似た配役やなぁ。特にシェイクスピア。クズやけど。(^O^)
難点は、半分くらいまで歴史的なことに振り回されて、とっつき難いということと、
主役のオックスフォード伯の若い時を演じる俳優さんとサウサンプトン伯の俳優さん
が似ててどっちだっけになったり、もう一人の主役ベン・ジョンソン(実在の劇作家)
と、ウィリアム・セシル邸で、若きオックスフォード伯の原稿を盗もうとした俳優も
似てて、アレ?ってなりますけど。(^_^;)
それと、一番最初が現在のアメリカの劇場から始まります。初老の俳優が舞台に立ち
シェイクスピアについて語りはじめ、そこから過去へ、シェイクスピアの時代へ行き
ます。この老俳優は最後に又出ますが、ぜんぜん気にしなくていいです。これいるか
なぁ。いらんやろ。
で、シェイクスピアの時代が現在として描かれますが、そこから更に30年過去へ。
この30年過去と今とを行ったり来たりがまたややこしい。ボクは、チャールズ・セシ
ルが初老(まだ黒髪)か老人(白髪)かで判断してました。(^O^)
これ、普通に、30年前から始めて、でシェイクスピアの時代になって、じゃダメなの
かなぁ。ま、それじゃドラマチックやないか。イギリスじゃ、普通にみんな知ってる
歴史やろうし。俳優さんも有名なんやろうし。けどこっちは日本人やからなぁ。前半
ついていくの大変。(^_^;)
監督はあの『godzilla』(ゴジラではなくガジラと発音してたような(^O^))のローラ
ンド・エメリッヒ。嘘やろ。こんなんお撮りになれるんや。びっくり。
特に、劇中でシェイクスピア作品の多くの上演風景があるんやけど、『ハムレット』
すごい。観客が泣いているシーンがあるんやけど、あれは泣けるわ。そして日本じゃ
無理だわ。なぜって? 1つには、西洋人と日本人の肉体的構造の違い。もう1つは、
日本の、ハムレットを演出するタイプの演出家さんにはあれは無理です。そうかて、
商業演劇的手法やもん。事実あの時代の手法はそうなんですよ。でも日本じゃシェイ
クスピアは新劇の持ち物みたくなっていて、そういう手法を排したものがスタンダー
ドになってしまってるんやもん。でないと評価ももらえないし。おかしい。
この映画が企画中に、あの『恋に落ちたシェイクスピア』の製作が始まり、こちらは
一旦お蔵になったそうです。
それから20年たって漸くの映画化だとか。
ボクはこちらの方が好きですわ。暗いけど。
最後のドンデンも強烈。暗いけど。
こんなん書きたいなぁ。暗いけど。
2022年2月18日